この記事では、ロボアドバイザーTHEOを運営されている株式会社お金のデザインのCEO(代表取締役)中村仁氏をお招きしました。
入社した経緯やロボアドバイザーの普及が日本において果たす役割、日本人が資産運用をすべき理由からお金のデザインの目指すゴールまで、余すことなく語って頂きました。
ぜひお読みいただき、株式会社お金のデザインやロボアドバイザー「THEO」がどのような想いで事業を行っているのか、何を成し遂げたいのか?将来への展望をお知りいただければと思います。
ロボアドバイザー「THEO」についてインタビュー記事はこちら「CMO馬場康次氏が語るロボアド「THEO」の全て|お金のデザイン」をご覧ください。
株式会社お金のデザイン中村仁氏のプロフィール
関西大学卒業後、野村證券入社。支店営業後、野村資本市場研究所ニューヨーク事務所にて金融業界の調査を実施。帰国後、マーケティング部・営業企画部にて野村證券の営業戦略の立案を担うと同時に、世界中の金融業界の調査も行う。その後、京都支店ウェルスマネジネント課にて上場企業のオーナー家をメインに担当。ウィスキーと家族をこよなく愛する2児の父。2016年4月お金のデザインに入社、2017年3月に代表取締役社長就任。(引用:お金のデザイン公式)
1. 株式会社お金のデザインの創業理由とミッション
「お金のデザインさんのロボアドバイザーTHEOは、2016年2月サービス開始とロボアドバイザー業界のパイオニアだと思われますが、どのような意図があり創業されたのでしょうか?」
中村仁
「まず、初めに私は創業者ではありません。谷家衛や廣瀬朋由を中心に創業されました。」
「彼らの思いとして、日本は今まで資産運用がなかなか根づきませんでした。しかし、人々が自分らしく生きていくために、お金の不安があるとやっぱりできないよねと。」
「今後の日本の20年、30年を考えていくと、資産運用とか年金分野においてお金に対する不安を解決して行かないと、いつまでたっても自分らしい生き方ができない。これを解決するという想いのもと創業されました。」
「では、私個人はなぜ、この会社に来たのかですが。」
「プライベートバンカーや営業、世界中の金融を知る中でずっと思っていたのは、金融業界、とくに資産運用にしぼると、プライベート・バンカーとインベストメント・バンカーの融合か、プライベートバンカーとITの融合以外は全部消えてなくなるということです。」
「プライベート・バンカーとインベストメント・バンカーの融合か、プライベートバンカーとITの融合以外は全部消えてなくなるというのは、どういうことでしょうか?」
中村仁
「まず、プライベートバンク的な能力があっても、インベストバンク的な能力がないと個人の方から信頼を得られない。インベストバンクだけやっていても、プライベートバンク的な知識がないと生き残れないと感じていました。」
「また、プライベートバンクとITでいうと、今の金融は全てが卸業だと思っていまして、つまり運用会社から仕入れた金融商品を顧客に卸すという構図です。」
「でも、それって付加価値がないじゃないですか。本来は、個人にとって最適なものを提案しないといけないのに、この商品が絶対にいいとかはあまり価値がない。」
「ITを利用すれば、個々人に合わせたものが提供できる。なので、ITで武装したプライベートバンク的なものか。もしくはプライベートバンカー的な要素をITで届けることが必要だと感じていました。」
「なるほど、確かに個人にとって最適なものを提案しないといけないというのには納得です。プライベートバンクとITを融合させれば、それが実現できると。」
中村仁
「今後はIT(テクノロジー)が確実に金融業界に置いて大きな役割を果たすと思っていたところ、この会社を紹介されました。」
「Fintechのど真ん中でやることで、他とは違ったキャリアや世の中の見え方があるのではと思って入社したのが理由です。」
「中村社長の経歴を見ていますと、入社後短いスパンでのCEOへの抜擢となっているのですが、なぜ自分が選ばれたと感じていますか?」
中村仁
「まず、創業者2名の方が0→1をしました。なので、今後は1→10、そしてまた0→1をしないといけません。」
「このベンチャーの荒波に一気に揉まれるステージに置いて最も大事なことは、ミッション・オリエンティッドに仕事や会社を経営することだと思います。」
「会社のミッションにどうチームを率いていくのかという点にフィット感があり、かつ新しい分野の成長に興味関心が強かったので、私が選ばれたのではと思います。」
「なるほど。お金のデザインさんのミッションとはなんでしょうか?」
中村仁
「人とお金の新しい関係を創るです。」
「これは、私が社長に就任してすぐに作りました。」
「社長を交代したので、社員全員になぜこの会社にきたのか?この会社って何のためにあるのか?何を実現したいのか?バックグラウンドが違う人が集まっているので、発言がものすごくバラバラなんですよ。(笑)」
「みんなの思いを1つ1つ受け止めてCMO馬場と私で、人とお金の新しい関係を創るに決めました。」
「また、コンビニエント・コネクトみたいな3Cも考えて、ミッションにあるお金との新しい関係についてもしっかり定義しました。」
2. お金のデザインがこれから注力していく事業
「最近はドコモさんとの協業なども光りますよね?今後、会社として注力していきたいことはありますか?」
中村仁
「そもそも、前提としてFintechの流れがあると思っています。私自身は、現在がFintechの第3章だと思っています。」
「2015年にFintech協会が設立。ここが第1章です。Fintechの第2章は2016年〜2018年中盤くらいで、これはいわゆる金融機関とFintechの融合。」
「実はこれ、日本型のFintech形態と言われており、一部では失望的な声も上がっていました。Fintechは業界変革やディスラプトした新しい世界とか言われていたのですが、既存のレガシーとくっつき始めました。」
「なるほど。結局、大手じゃないのかみたいなところですよね?」
中村仁
「そうですね。しかし、第3章が2018年の5月、我々とドコモさんとの協業を皮切りに始まったと思っています。」
「完璧なる超巨大異業種が、この資産運用業界に参入してきました。」
「私自身は、今が日本が貯蓄から資産形成に変わるラストチャンスだと思っています。」
「なぜなら、これだけのパイを持った会社が本気で資産運用業界を、とくに我々のようなロボアドバイザーの業界に入って来るなんてなかったことですから。」
「これだけの会社さんが入ってきて、日本が変わらなかったらいつ変わるのかと。なので、今年、来年は日本が本気で変わる年だと思っており、そのために我々がリードしていき、このFintech第3章の主役でありたいと思っています。」
「ドコモさんとは、今後もやっていくという流れなんでしょうか?」
中村仁
「今の所、ドコモさんとはかなり良好な関係を築けているので、そこは我々としても、より深くやっていくというのは考えているところです。」
「ドコモさんのやり方は、どちらかというとデータ主義で、他の企業さんとは違うかなと考えています。」
「データ主義ですか?他社さんとはどう違うのでしょうか?」
中村仁
「例えば、KDDIさんはストラクチャー的な発想が強いなと。要はホールディングスがあり、その下に子会社がある。ストラクチャーとしての企業形態ですね。」
「LINEさんは機能ベース。決済や証券やみずほさんと組んで、銀行など機能ベースから始まって、いろいろなことされているなという印象があります。」
「対して、ドコモさんはデータ主義という印象があります。一緒にやっていても、顧客がどのような属性なのか?どのようにやればいいのか?巨大に見えますが、実はかなりデータ主義でして、そこから入っていこうとしている点が意外でした。」
「ベンチャー的な発想がすごくあるのかなという印象です。」
「聞いていると、ドコモさんはテックに強いTHEOさんとも相性が良いように思いますね。」
中村仁
「良いですね。並行して行っていきたい事業ですが、そもそも我々、人とお金の新しい関係を創るというのはありますが、現在の立ち位置がどこで、どこに属して、何を考えなくちゃいけないのか?きちっと見極めていく必要があると思っています。」
「そうすると、我々が今属しているのは資産運用業界です。」
「資産運用において、お客様がどのように行動するのかを考えますと、まずはヒアリングです。」
「ヒアリングで考えを聞き、ニーズを把握。次にポートフォリオの提供、そして運用、アフターフォローの順番です。この全部を機械がやるのはまだ弱いと思います。」
「それぞれ機械が得意なところと、人が得意なところがあり、我々としては人と機械の得意分野が融合することで、初めて資産運用における新しい信頼のカタチが作られると考えています。」
「我々の提供しているロボアドバイザーは、究極的に運用のところです。なのでソリューションです。」
「ですが、いきなりソリューションにいく方って少ないのではと考えています。」
「とくに日本人の場合、資産運用をいきなりやる人はほとんどいない。だから、個々へのヒアリングがすごく重要だなと思っています。」
「また、そもそも日本人はヒアリングができる機会がほぼないと考えていて、そこで手がけたのがお金の健康診断です。」
(引用:お金の健康診断)
「お金の健康診断ですか?詳しくお聞かせ願えるでしょうか?」
中村仁
「まず、2017年に実証実験をやりました。」
「200名に簡易的なライフプランニングを受けてもらって、そのあと5分間だけFPの方がアドバイスをするというのをやったんです。そのあと、アンケートの回答をいただきました。」
「一番驚いたのが満足度が100%だったことです。どちらでもないが1個もなかった。このようなアンケート調査は見たことがなかったんです。」
「そのときに気になって、詳細を聞いてみました。すると、なぜ満足したかというと、解決策を示したというより、聞いてもらったという点だったのです。」
「確かに。お金のことを聞ける機会というのは、実際のところほとんどありませんよね。とくに日本人は、お金のことを話すのは汚いというイメージあり、あまり話したがりません。」
中村仁
「世の中って合理的に考えて正しいものが、必ずしもユーザーのニーズじゃない。」
「実は聞いてもらうってことがすごくボトルネック、だから今の時代に合わせて、テクノロジーを使って簡単にFPとマッチングしてチャットなどで相談できるサービス、お金の健康診断を始めました。」
「おかげさまで、2018年11月に始めてから多くの方に診断をしてもらっているという状況です。」
「以前、ある資産運用フェアに行ってきました。そこで、FP相談ブースは一回も途切れることなく、行列でした。なぜかと思い話を聞いてみると、まずは相談がしたいと。商品を知る前に自分がどうなのかを知りたいんだと。」
「日本の課題は、最初のヒアリングにたどり着けない人が多い点だったのです。なので、そこにつれていくのがすごく重要だと思っており、お金の健康診断は力をいれていきたい事業です。」
(引用:お金の健康診断)
「お金の健康診断の相談は有料なのでしょうか?」
中村仁
「いえ。相談自体は無料ですね。」
「それはいいですね。とても需要があると思います。ロボアドバイザーにおいても、アルゴリズムの診断が信頼できないと思う人は、まだ結構いると思います。」
中村仁
「そうですね。だからこそ、人はまだ重要だと思っていますね。」
3. ロボアドバイザーが、日本において果たす役割
「お金のデザインさんの主要ビジネスであるロボアドバイザーですが、ロボアドバイザーが、日本において果たす役割について教えてください。」
中村仁
「まず資産運用で考えたときに、iDeCoとつみたてNISAが個人的には最強だと思っています。税制優遇があるからです。それはそれでいいと思っています。」
「ただし問題として、制約条件がたくさんある。人は制約条件がある内での意思決定は難しいと思っています。」
「そして、手続きが両方ともめんどくさい。これは普及促進における大きな弊害だと思っています。」
「じゃあ、どうするのというところですが、実は、ポイント投資からロボアドに来ているユーザーさんは、ドコモさんのデータによると50%以上となっています。」
「それはすごいですね。ポイント投資が果たしている役割は大きいのですね。」
中村仁
「やはり、資産運用って自転車と一緒の学び方をしないといけないと思っています。」
「まずはバランスをとっていかなきゃいけない。最初は補助輪かなみたいな。」
「資産運用は、いくら学んでも一生できないんですよね。まずは、ちょっとずつやっていく。そういう意味では、ロボアドバイザーは自転車に最初に乗るためのような、初心者に一番な最適なものだと思っています。」
「サクッと申し込みができますし、THEOであれば1万円からできますし、積立もできます。」
「日本の貯蓄から資産形成に置いて、iDeCoやNISAというのは至極いいものだと思いますが、投資の入り口において、ロボアドバイザーが担う役割は、極めて高いと思っています。」
「やはり日本の貯蓄から資産形成が全く進まない中で、とくに重要なのは入り口です。その入り口を解決する上での大きな役割を果たすと思っています。」
4. ロボアドバイザーが日本で普及する上で重要なこと
「ロボアドバイザーを日本で普及させていく上で、課題だと思っている点を教えてください。」
「米国では、ウェルスフロントやベタメントなどのロボアドバイザーを筆頭に、急速に市場が拡大しています。日本も米国のように成長できる可能性はあるのでしょうか?」
中村仁
「アメリカにおいて資産運用がなぜ普及したのかというと、401Kとか個人退職勘定(IRA)があるからですね。」
「日本銀行さんが出しているレポートでは、実は日本人とアメリカ人の金融リテラシーには、それほど差がないと言及されています。」
「それは意外です。世間では、日本人は金融リテラシーが低いと言われていますが、実はそうではないと。」
中村仁
「私もアメリカに行って思ったのですが、金融リテラシーの差ってあまりないのでは?と。」
「では、なぜ資産運用がアメリカで普及したのか?それは制度と直販です。」
「例えば、バンガードやフィデリティーなど証券会社を通さずに、個人投資家がダイレクトに投資信託を買う流れがあり、資産運用が根づいていきました。」
「その環境において、ロボアドバイザーも適応しやすかったのかなと。今までやってきた資産運用をもっと効率的に低コストでやってくれるのが、ロボアドバイザーです。そのため、移転コストがとても少なかったのだと思います。」
「日本においてはロボアドの移転コストって、貯蓄からやらないといけないので、株式や投資信託をやっている人からロボアドというのもちろんあるのですが、貯金からロボアドとなると、多くの人が、そんなことする必要あるの?となってしまいます。」
「そのため、国民の意識改善がもっとも大きな課題かなと思います。」
5. 日本人が資産運用をすべき2つの理由
「資産運用の重要性を理解するところから始めないといけないので、確かにハードルは高印象を受けますね。ちなみに中村さんは資産運用をすべき理由としてどのように考えていますか?」
中村仁
「なんで資産運用が必要なのかですが、2つの理由があると考えています。」
「資産形成においては、iDeCoとNISAが最強なんですが、なんで最強なものを国が用意したのか?という点とグローバルで見た場合、日本が相対貧乏になっている点です。」
「iDeCo、NISAを用意した理由は、国が責任を持って老後を考えてください!と言っているからです。」
「社会保障費を支えきれないので、自分たちでやってください!と。なので、資産運用は今後やらないと損をするものだということに気づかなければいけません。」
「もう1つは、グローバルで見たとき、日本が相対貧乏になっている点です。」
「金融庁さんが出した資料で、1995年〜2016年までのアメリカ、イギリス、日本の個人の金融資産の伸び率についての金融レポートによると、アメリカが3.3倍、イギリスが2.6倍、日本は1.5倍。伸びてると思うかもしれませんが、他国はもっと伸びています。」
「つまり、日本の購買力が下がっています。」
「身近な例でいくと、インバウンド。京都のビジネスホテルって日本人が泊まれる値段じゃないんです。購買力がある国の人々がどんどん物を買っちゃうので、日本人って今のままの経済状況の中でお金をおいていても、どんどん貧乏になるだけだと気づかないといけません。」
「では、何ができるのかというと、世界中に分散投資をして、世界の成長率を享受することです。」
「この2つの危機感を持たないといけないというのが、資産運用をやるべき本質的な理由だと思っています。そこに気づくと、日本人の行動が変わっていくのではと思っています。」
「大きな危機が迫っているんだよと国が発しているメッセージを、国民がちゃんと受け取れるかどうかですね。」
「確かに、僕も最近では、日本の将来に対する不安を感じるようになって来ました。国のメッセージとグローバル規模での購買力を維持するために、資産運用が必要なのですね。」
6. 中村仁氏が人材マネジメントで大事にしている信念
(引用:お金のデザイン公式)
「人材マネジメントはどうしていますか?注意している点などお聞かせください。」
中村仁
「ここは日々試行錯誤ですね。ただ、私がずっと思っている信念が2つあります。」
「1つはビジネスが人を成長させチームを作るということ。」
「やっぱり、ビジネスがおもしろくて、それがやりたくて人が来て、プロジェクトが作られて、そこで鍛えられるべきだと思います。」
「マネジメントレベルでは、そこをもっと振り回さないといけないと思っています。もっとできるんじゃない?とかですね。」
「もっと、事業そのものをワクワクするものにできるんじゃないか?みたいな感じですね。」
中村仁
「そうですね!もっとワクワクですね!こんなことやったらもっといいんじゃないのか、ビジネスベースでチームを作っていく点が1つです。」
「あと、ベンチャーでも大企業でも人材マネジメントの対極にあるのは、退職や辞めるということじゃないですか?これは退職しないようにするという点で絶対に考えてはいけないと考えており、退職したくないと思わせる組織にしないといけないと思っています。」
「私はこの2つを信念にしてます。」
「組織的に、気をつけていることはありますか?」
中村仁
「組織論でいくと、組織が大きくなると3つ発生すると思っていて、イノベーションのジレンマとピーターの法則とパレートの法則です。」
「まず、成長したビジネスがあったら、その成長したビジネスを壊す意思決定はできません。」
「また、会社が大きくなればなるほど階層社会になって、無能な人がたどりつく終着点となります。」
「そして、人が多くなるとパレートの法則で上位2割くらいしか稼がないというのがあるので、これが絶対に起こるというベースで組織運営をしなければならないと思います。」
「ベンチャーでは、基本的に著書ゼロ・トゥ・ワンとかハード・シングスみたいなことに書いてある以上のことが起こると思っています。」
「僕たちが考えているアイデアは価値がないし、すぐにマネされるし、きついと思っている以上のことがよりきつくなるので、それでもやっていけるか?」
「そういう環境でやっていくには、マネジメント体制や人材育成がどうだ以上に、ビジネスをどんどん引っ張っていって、そのビジネスがおもしろいからやりたいと思う人が集まるっていう風になると、人は勝手に成長していくと思うし、そこで良いチームもできててくると思っています。」
「恐縮ながら、社風を見ていますと、社員さんの雰囲気も良くて、とても良い会社だなぁと感じます。気になる点といえば、例えば、副業はOK何ですか?」
中村仁
「僕らがメインであれば、全然OKですね。」
「あたり前のことですが、就労においてはきちっと見ています。」
「でも、もっとも重要なことは、人間って労働時間は全員フェアですよね?勤務時間が平均的に何時間かあったとしたら、その100%のうち何%を本気でやっているのかというのが全てだと思います。」
「50%で10時間働く人よりも、100%で5時間働く人の方が濃密だと思っていて、僕らのとこにきたらワクワクしていい意味で忙しい、ここに働いている限り100%の時間を使ってもらえるようにするというのが一番重要かなと。」
「社員に100%の力を出してもらうために、中村さん自身がビジネスを引っ張り、みんなにワクワクしてもらうという感じですね。」
中村仁
「そうですね。実は、僕らって失敗している企画もあったりします。でも、なんでもチャレンジするというのがないとワクワクもしないですから。」
7. Money TalkやOutliersの企画意図
(Money Talkのメインビジュアル 引用:THEO公式)
「お金のデザインさんは、マネートークやOutliersのような芸能人や著名人の方に、お金について語ってもらうおもしろい企画を行っていますよね?個人的にとても好きな企画でして、どのような意図があり、行っているのかをお聞きしたく思います。」
中村仁
「まず、お金・資産運用のことを真正面から説明することは必要だと思ってます。」
「例えば、THEOのブログでは資産運用の本質的な発信をしています。しかし、お金以前に、ユーザーにどういう人になってもらいたいのか?どういう人生を歩んでいただきたいのか?ストーリーが重要だと思っているんですよね。」
「今の時代は情報があふれています。その中で重要なのが、ストーリーを伝えていくことです。」
「確かに!あくまでストーリーが主役であり、その中でお金が絡んでくるだけですもんね。」
中村仁
「そうですね。」
「お金の本質を上手くついていると思います。個人的にすごく共感します!」
8. IPOの可能性とグローバルビジネス
「IPOは考えていたりするのですか?」
中村仁
「ファイナンス的なお話をすると、ロボアドバイザーって究極的には運用会社じゃないですか?運用会社なので FinTechでは伸びていますが、プロの目はごまかせません。」
「運用会社の業界の中で、一社だけ大きなバリエーションが着くのはありえない。しかし、テクノロジー中心の企業なのに、他の金融機関と同じような評価をされるのはちょっとおかしいなとも思っています。」
「だから、新しいビジネスモデルをどんどん築いて、今までの運用会社がやってこなかったこと、テクノロジーを使った新しいシステムを作って、それをプロに見てもらう。」
「しっかりとしたエコシステム、キャッシュフローが見えたときにIPOができたら、過去とは違う評価がされるのではないか、新しい世界が作れるのではないかと考えています。」
「マレーシアビジネスも始めるとお聞きしましたが、その意図を教えてください。」
中村仁
「シンガポールのシステム会社と、マレーシアでロボアドバイザーを展開していきます。」
「なぜマレーシアかというと、幸いなことにあらゆる国のパートナー候補と交渉をしていました。」
「その上でシステムを創るので、やはりシステム協力をしてもらえるか?現地の規制当局と話せるか?理念が合致するか?を話し合った上で、この会社とやればできると思い、組みました。」
「東南アジアの銀行のシステムにも携わっているので、他国展開もしやすいと思いましたね。ここをとってアジアに一気に出て行こうと考えています。」
「アジアでロボアドバイザーが通用するのか、僕も興味があります。」
中村仁
「この動きは、世間的に見てもかなり早いと思います。」
「アジア諸国でロボアドってどうなのと考えたとき、まだ分からない点はありますが、気づいたときは、ときすでに遅しになるなと。」
「マレーシアでは、マーケティングのプラットフォームが日本以上に整っています。インスタグラマーなど、一気に普及するポテンシャルがあると思っています。早めに突っ込んでやったら一番最初に突っ切れる可能性があるので、アジアを取れるかなと。」
「アジアでディテールしている企業はまだゼロなので、ベンチャーとしてやるしかないなと。なので、海外でも同時並行でやっていきます。」
最後に:お金のデザインのゴール
「最後に、お金のデザインさんのゴールを教えていただければと思います。」
中村仁
「目指しているゴールというのは、まさにミッションですね。」
「人とお金の新しい関係を創るです。」
「これ以外に、僕らが目指す長期的なゴールはないです。」
「短中期的には、このFinTech第3章の中でしっかりとポジションを築くこと。それによって届くユーザーの層が全然変わってくるので、最終的に我々が目指す、人とお金の新しい関係を創るを実現できると思っています。」
「お忙しいところ、わざわざインタビューにお付き合いいただき、ありがとうございました。」
あとがき
お金のデザインCEO中村仁さんに、インタビューさせていただきました。
CEO中村さんはクールな見た目とは裏腹にとても熱い想いを待たれた方で、その情熱に終始共感を覚え、お金のデザインのファンになってしまいました。
「人とお金の新しい関係を創る」というミッションのもと、Fintechの荒波を生きるお金のデザインとロボアドバイザーTHEO。
日本を引っ張り、世界有数のグローバル企業へと羽ばたいてほしいと感じました。
インタビュー内には記載していませんが、個人的に心に響いたのはお金のデザインさんの「Enpowerment outliers」という隠されたコンセプトです。
いつの時代も社会を変えるのはoutliers。人は誰しもoutliers的な側面を持っており、それを臆すことなく発揮できるようにEnpowermentする。
誰もがお金の不安から解放され、自分らしく生きられる時代の到来が待ち遠しいですね。
コメント