【取材】セゾン投信株式会社中野晴啓元社長|日本人が資産形成(投資)をすべき理由とオススメの投資手法

  • 将来のお金について漠然した不安がある
  • そもそも何で投資しないといけないの?
  • オススメの投資手法は?

このような不安を抱える方がいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、金融業界の著名人であり、日本に資産形成の文化を根付かせるべく活動している第一人者であるセゾン投信代表取締役社長中野晴啓氏に取材を行いました。

取材では、

  • そもそもなぜ資産形成(投資)は必要か?
  • セゾン投信創業の想い
  • これから投資を始められる方にオススメの投資手法

などを伝授していただきました。

ぜひ、この記事をお読みになって、資産形成への一歩を踏み出していただけたらと思います。

<取材を引き受けてくださった中野晴啓氏>

1987年、現在の株式会社クレディセゾン入社。セゾングループの関連会社にて債券ポートフォリオの運用業務に従事した後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金の運用や海外契約資産等の運用アドバイスを手がける。その後、2006年セゾン投信株式会社を設立。現在2本の長期投資型ファンドを運用、販売している。「セゾン資産形成の達人ファンド」は数々のファンドアワードで最優秀ファンド賞を連続受賞。顧客数約15万人、預かり資産額は3,000億円を超える。一般社団法人 投資信託協会理事 公益財団法人 セゾン文化財団理事。著書に『つみたてNISAはこの8本から選びなさい』(ダイヤモンド社)等多数

目次

当記事は投資に関連する一般的な情報提供を目的としており、取引の勧誘を目的としたものではありません。情報の品質管理に努めておりますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。金融商品の最新情報は公式サイトにて必ずご確認ください。投資される際はご自身の判断と責任で行っていただきますようお願いいたします。

1. 中野社長が考える日本人が資産形成(投資)をすべき理由とは?

「中野社長は、日本人が投資をすべき理由についてどのようにお考えですか?」

資産形成(投資)はみんながやるべきものになっている!

「まずは、金融庁が投資という言葉を資産形成という表現に言い換えました。この意味は理解していますか?」

「投機の意味合いが強いからですかね。」

「そうです。日本だと投資はどちらかと言うとネガティブワード。金融庁もそれを実感しており、このままでは投資の必要性が正しく伝わらないという危機感があったんですね。」

資産運用をすべき理由はまさに資産形成です。将来のために自分のお金を育てていくこと。これからの社会構造に鑑みると、資産運用が一人ひとりの人生設計の中で不可欠なものになるのは間違いないです。」


※イメージ
(引用:セゾン投信公式サイト)

「全員がやるべきものになっているという認識でいいでしょうか?」

「老人になってもお金がたくさんあって、死ぬまで使いきれないという方は必ずしも当てはまらないかもしれませんね。」

「しかし、毎日仕事を頑張っている生活者の方々のような、これから長く生きていく人にとって将来に向けての資産形成は避けて通れないものになっています。」

これからの公的年金の実情

「今の若い世代の方って、これから生きていくことに不安感がある方も多くありませんか?」

「そうですね。正直あります。」

「どの部分に不安がありますか?」

「どう稼いでいくか?とか、働けなくなった後の金をどうすればいいか?とかですかね。」

「働けなくなるというのは、いわゆる老後ですよね。」

「老後ってみなさんが思っている感じですと、年金をもらってそれで生活していくと考えていると思うんですね。」

「ですが、ちょっと前に話題になった老後2000万円の報告書にもありましたが、国の年金という制度だけじゃ老後に2000万円程度不足してしまう可能性が高いんです。」

「実際に公的年金だけで、今のおじいさんやおばあさん世代のような暮らしが実現可能と思ったらそれは違うんです。」

「まず1つ、年金制度は今の給付を受けている人の水準では継続しえないということです。」

公的年金とは、そもそも最低限生きていくための国の保証なんです。だから、節約生活を望めば確かに生き抜くことはできると思うんですね。これが国の元々の仕組みなんです。」

「今までの年金が貰えすぎていたということですかね?」

「結果的に、今までの年金支給が十分な額もらえていたということですね。 20世紀の高度経済成長があって、今の世代はその恩恵を受けられた。この構造って、実は今では逆になっているんです。」

「日本では、労働生産人口がどんどん減り、高齢者が増え、同じ仕組みのままでは年金は破綻すると言われます。」

国としては年金制度を維持することが何よりも重要ですから、維持させるにはどうすればよいか?それは、僕らが年金を受け取る水準を下げるしかないですよね。」

「冷静に考えれば、当たり前とも言えますよね。」

「今の僕らには、ある程度納得できた豊かさがありますよね。美味しいものを食べたいときに食べられるし。ビールも飲めます。」

「そういう意味で、これからも自分が納得できるような暮らしを人生スパンで作りたいと思う人については、長期資産形成に向けての行動を取ってほしいと思っています。」

「ただ、あくまでも民主主義。人生観というのは人それぞれですから、年金だけの節約ライフというのも選択肢としてはあるわけです。」

「ですが、一般的にはそれなりに豊かな人生を築きたいですよね。そう思うなら、みなさん行動してくださいと。これが社会的な必然性なんです。」

「なるほど。今まで通りのある程度豊かな生活を送り続けたいなら、これからは資産形成をしましょうということですね。」

お金にしっかり働いてもらうという考え

「そうなりますね。もう1つは、日本の金融という点で、自分のお金をしっかりと社会の循環の中で動かしていくという大きなテーマがあります。」

「みんなが預貯金じゃなく投資という選択肢をとると結果的にお金が経済に回っていくので、一人ひとりのお金が新たな富を生みます。

「富を生むと、お金が経済に循環するようになるので、結果として、豊かな人生の実現に繋がります。」

「それと同時に豊かになった人は、豊かな人生を実現するために消費という行動をとりますよねそういう人たちが次に日本経済の中でお金を使うことで、今の若い世代が大人になっても結果的に豊かで経済がちゃんと機能する社会が実現できます。」

なぜ、今銀行預金は金利が低いのか?

「個人的に気になるのが、預貯金も一応銀行が企業に貸し出したりして社会を動かしているじゃないですか?それと投資をすることとどう違うのでしょうか?」

「20世紀の話に戻りますと、おじいさん・おばあさんが若い時代は、銀行預金にお金を預けると、銀行は預かったお金をフルに活用していたんですね。むしろ足りなかったくらいです。」

「なぜなら、経済がどんどん成長していくので、企業はお金が必要だったんですね。もっとビジネスを拡げたいんです!お金を貸してください!すると、銀行もどんどん借りてください!と。」

(引用:中学生向け図説パンフレット – 金融庁

「産業界がどんどん効率よくお金を使ってくれるから、銀行に「ありがとう」と金利が返ってきます。銀行に十分な金利が返ってくるので、銀行は胸を張って、預金者にも利息を払えました。この循環があったのが20世紀ですね。」

「しかし、今は預金しても銀行が預かるだけで、十分に機能を果たせていません。これは産業界と銀行の両方に言い分があります。」

「銀行からすれば産業界が借りてくれないと。銀行もいい仕事したいけど、産業界からするといらない。僕ら立派な会社になったし十分に自分のお金で投資ができると。僕らは、産業界で成熟しちゃったので、新しい工場を作るとかそういう感じじゃないんですと。」

「こういう事情があって銀行がお金を出すところがない。産業界もお金を借りない。ここが途絶えると産業界から、ありがとうの金利が返ってこないので、銀行も預金者にありがとうと金利が払えないんです。」

「なるほど。だから私たちの一人一人が社会にお金を働きに出して、しっかり豊かにしていきましょうということですね。」

「そういうことですね。」

2. セゾン投信創業の想いとは?

「どういった想いでセゾン投信を創業されたのでしょうか?」

「日本という社会がこれから少しずつ廃れるじゃないかという残念な気持ちがありまして、しかし残念がっているだけじゃいけませんよね。自分でちゃんとした人生を作るように動かなければ、残念なままで人生を送ることになる。じゃあ自分で行動するしかないです。」

「経済的な自立を自分で作るためには、自分のお金を新たな富が生まれる方向に向けるしかない。どうすれば自分が持っているお金が富を生むのか?それは、自分の意思で経済が必要としているところに持っていくしかありません。」

「それが投資です。投資を一人一人が自覚して自立的に行動するということを僕ら自らがサポートする。つまり、誰でも行動できる投資信託というツールを作って、一緒に将来に向かって歩んでいきましょうと。」

「みんなで自分が目指す人生を一緒に作っていきましょうと。そういう場所を作るつもりでセゾン投信を創業しました。」

(引用:セゾン投信公式サイト)

「社会的必要性ですよね。大手の金融機関がこれをやってないなら、僕らが出ていかないといけない!ベンチャースピリット!あるのは情熱ですよ!」

「しっかり成果が出たら嬉しいし、生きがいを感じます。自分が納得したことが満足と直結するというのが仕事の醍醐味ですよね。自分が一番満足できる仕事はこれだなと思っています。」

3. これから資産形成を始められる方へのオススメの投資方法とは?

「これから資産形成を始める方に向けてどういった投資手法を実践していけばいいのかを中野社長からアドバイスをいただけたらと思います。」

しっかりと長期投資で企業の成長を待つ!

「セゾン投信のメッセージは非常にシンプルです。多くの方がどうしたらお金が育つのかがわからないと思うんですね。」

「実は、銀行が過去にちゃんと利息が払えたのと同じことなんです。自分のお金が増やす力のあるところに出ていけば、力のあるところがお金を大きくしてくれます。」

「その養分は何か?それが成長です!」

投資というのは、お金を働きに出すということ。経済活動がちゃんと成長してくれれば、その分だけ社会が豊かになります。

「社会を豊かにしてくれているのは企業。ビジネスなんです。だから、産業界が必要としている場所にお金を出していく。」

「しかし、企業は3、4日では成長できません。1つのビジネスが大きな結果を生むには10年、20年かかります。自分のお金をそのビジネスの支えとして出して、ゆっくり待っていると成長した結果、きちんと果実をつけて戻ってきます。それが長期投資です。」

相場で勝負するという話ではなく、金融機能の担い手になるという考えです。」

「預金というのはそれを銀行に全部お任せすることです。だから投資には意思が必要なんです。気づいて、自分の意思で行動することが大事。」

「もちろんマーケット自体は毎日上がったり下がったりします。これは実体経済だから仕方のないことです。長い時間が経つと実体経済のあるべき場所に値段が回帰します。」

世界経済にお金を置こう!

ふさわしい場所は世界経済に投資することですね。これは世界の資産運用の王道の考え方です。つまり、世界経済の成長を養分にしましょうということですね。」

「それは、一番確実性が高いということですか?」

(引用:セゾン投信公式サイト)

「1つの合理性をもって世界経済が大きくなるということを見いだすことができます。」

「例えば、特定の国がダメになると、同時に世界経済がダメになるのかというとそういうわけではありません。世界というのは、人口増加を伴って需要はちょっとずつ増えているんですね。」

「その中で、どこかの国が凹んだら、それはどこかが埋めているんです。ある国がダメだから、世界はダメだ!となりやすいのですが、それは世界全体がしっかり支えているのです。」

コツコツと積立投資をしましょう!

積立はとても重要な分散投資です。」

「俗にいう時間分散ですね。国際分散は資産を世界に分散すること。時間分散には、自分の意思が必要なんです。」

積立は、毎月とか定期的に同じリズムで同じ金額をひたすら買うという行動をとることです。これだけだったら相場でいつ買ったらいいの?売ったらいの?という判断をしなくてもいい。」

「ちょっとずつ買うのだから怖さは低減しますし、マーケットで勝負しようという気持ちも自然に萎えます。いい意味での諦めがつくんです。」

(引用:セゾン投信公式サイト)

「積み立てていくときに一番気になるのは買値ですけど、毎月買っていくと先月はいくら?今月いくら?と三ヶ月分くらい経つとわからなくなりますよね。そうすると買値に対する執着が無くなります。」

「ならもう続けるしかないよねと。そう考えると心も穏やかになります。これが積立の一番のメリットです。」

精神的負担がなくなるし、安い時には多く買えちゃいます。毎月ちょっとずつ積み立てていくだけなので、抵抗なく参加ができる。」

この方法なら、全ての人が長期投資家になれるんです。まずは1万円からでも、10年続けたら結構立派な投資家の資産になりますよね。」

「なるほど!ここまでの話を聞きますと、長期でどっしりと構えながら、世界に分散投資をして、コツコツと少額を積立投資するのが良いという感じでしょうか?」

「そうなりますね。ぜひ、皆さんも長期資産形成を初めていただければと思います。その為にセゾン投信が精一杯サポートさせていただきます。」

まとめ

セゾン投信の代表取締役社長中野晴啓さんに、今日本人が資産形成(投資)をすべき理由と創業理由、オススメの投資方法まで語っていただきました。

昔の常識は今の常識ではありません。ここに気づくことができると資産形成の必要性も自ずとわかってくるのではと感じました。

確かに公的年金だけでも、最低限度の生活はできるかもしれません。しかし、より豊かな生活と日本の今後を想うのであれば、皆さんのお金のほんの少しを経済を動かす原動力として投資して欲しいなと思います。

未来の私と未来の日本。世界の未来の為に。セゾン投信の熱い想いが日本中に広がって、未来がもっとワクワクしたものになれば素晴らしいですね。

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