「GPIF」(ジーピーアイエフ、年金積立金管理運用独立行政法人」は、私たちが将来受け取る公的年金、つまり国民年金や厚生年金の積立金を運用する国の機関です。
運用資産は約200兆円以上。今後、少子高齢化が進み、現役世代が納める保険料だけでは、将来の年金給付を賄うことが難しくなると言われています。運用して増やすことで、将来の年金財政を支える財源としての活用が見込まれています。
GPIFの運用は、私たち一人ひとりの将来に直結するため、比較的安定性重視の資産運用を行っていることで知られています。
GPIFがどのような資産配分(ポートフォリオ)で運用されているのかを学ぶことは、あなたの資産形成に役に立つと考えます。ぜひ参考にしてください。
1. GPIFの基本ポートフォリオ|4資産へのバランス投資
GPIFは、多様な資産に投資することでリスクを分散しつつ、長期的な成長を目指すポートフォリオを構築しています。
2023年度末のデータでは、大きく下記4つの資産に分けて運用されています。
(引用:GPIF)
項目 | 国内株式 | 外国株式 | 国内債券 | 外国債券 | |
---|---|---|---|---|---|
投資構成割合 | 25% | 25% | 25% | 25% | |
乖離許容幅 | 各資産 | ±8% | ±7% | ±7% | ±6% |
債券・株式 | ±11% | ±11% |
国内株式・・・日本を代表する有名企業の株式を多く保有しています。
外国株式・・・アメリカやヨーロッパなどの先進国、そして中国やインドなどの新興国の企業に投資することで、日本とは異なる成長の恩恵を享受できる可能性があります。
国内債券・・・日本の国が発行する債券(国債)や会社が発行する債券(社債)にも多く投資しています。他資産と比較してリスクが低い傾向にあります。
外国債券・・・外国の国や企業が発行する債券(外国債券)にも投資します。だし、外国債券には、為替レートの変動リスクがあります。このため、国内債券よりリスクが比較的高い傾向にあります。
GPIFは基本的に外部運用会社が運用する複数のファンド(投資信託)に投資を委託(※)する方針を取っています。ファンドには、大きく分けて2つの運用手法があります。
※GPIFが自家運用するファンドもあります。
一つは、「パッシブ運用(インデックス運用)」。これは、日経平均株価やTOPIXといった、市場全体の動きを表す指標(インデックス)と同じような値動きを目指す運用方法です。
もう一つは、「アクティブ運用」。これは、運用のプロであるファンドマネージャーが、独自の分析や戦略に基づいて、有望な企業等を選んで投資する方法です。
GPIFは運用資金の多くをパッシブ運用、約1-2割程度をアクティブ運用に回しています。
どちらの運用が優れているとは言えませんが、パッシブ運用の方が市場全体の値動きを捉えるには有用と考えられています。
一方で、長期的に成長する優良企業を探しだし集中投資するにはアクティブ運用が適しています。
近年は、オルタナティブ資産への投資比率が増えている
(引用:GPIF)
GPIFは、近年株式や債券といった伝統的な投資先に加えて、「オルタナティブ資産」と呼ばれる、新しい資産への投資にも力を入れています。
GPIFにおける2024年3月末時点のオルタナティブ資産全体の時価総額は3兆6,972 億円(年金積立金全体に占める割合は1.46%)となっています。
(引用:GPIF)
オルタナティブ資産に投資を行うメリットとして、株式や債券とは異なる値動きをする傾向があるためリスク分散になることに加え、長期で相対的に高いリターンが期待できる点にあります。
具体的には、下記のようなオルタナティブ資産があります。
プライベートエクイティ・・・まだ上場していない将来有望な会社に投資し、その会社の成長を支援して、最終的に株式を上場させたり、他の会社に売却したりすることで利益を得る投資方法
不動産・・・オフィスビル、商業施設、マンション、物流施設など。不動産投資は、比較的安定した家賃収入が期待できるため、長期的な資産運用に適した投資先と考えられています。
インフラ関連 ・・・道路、鉄道、空港、発電所など、インフラ投資は、長い期間にわたって安定した収入を生み出すことが期待できるため、年金のように長い時間をかけて運用する資金に適しています。
ESG投資の思想も取り入れている
GPIFは、「ESG投資」を行っています。
ESG投資とは、単に利益を追求するだけでなく、環境問題や社会問題の解決に貢献しているかどうかも重要視しつつ投資することです。
例えば、地球温暖化対策に熱心な企業、従業員の働き方を改善している企業、透明性の高い経営を行っている企業などが、ESGの観点から優れていると評価される傾向にあります。
ESGに優れた企業への投資は、企業価値の持続的な向上に寄与し、結果として長期的なリターンに繋がる可能性があります。
企業との対話(エンゲージメント)
長期的なリターンの確保には、企業との建設的な対話(エンゲージメント)により、企業価値の向上や持続的成長を促すことが重要とされています。
GPIFは株式を直接保有せず、外部の運用会社を通じて投資する方針を採用しています。そのため、「運用会社が重大だと認識するESG課題については、投資先企業と積極的なエンゲージメントを行うよう求めている。」としています。
2. GPIFの過去の運用パフォーマンス
GPIFは2001年度から運用が行われており、2024年度第2四半期までで下記のような運用パフォーマンスです。
項目 | 市場運用開始以降 (2001年度~2024年度第2四半期) |
---|---|
収益率 | +4.26%(年率) |
収益額 | +153兆6,431億円(累積収益額) うち、利子・配当収入は53兆6,162億円 |
運用資産額 | 248兆2,274億円(2024年度第2四半期末現在) |
年率4%以上と良好な運用パフォーマンスとなっています。
3. GPIFのポートフォリオを真似する方法
4資産へのバランス投資を真似する方法
主に同じポートフォリオ比率に投資する投資信託に投資することで擬似的な運用が可能です。
iFree 年金バランス
「iFree 年金バランス」は大和アセットマネジメントが運用する投資信託です。
国内株式、先進国株式、国内債券、先進国債券に投資を行います。
資産クラスおよび配分比率の決定にあたっては、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の基本ポートフォリオに近づけることを目標としており、GPIFと同じ運用を行いたい方にぴったりです。
しかし、2024年12月末時点では、NISA口座での購入に対応していないためご注意ください。
ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)
ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)はニッセイアセットマネジメントが運用を行う投資信託です。国内株式、国内債券、先進国株式、先進国株式に25%ずつ投資を行う投資信託です。
GPIFとの相違点としては、GPIFはポートフォリオ内にアクティブファンドを加えていますが、こちらは全てパッシブ運用で行われる点です。
NISA口座での投資にも対応しています。
オルタナティブ資産への投資を真似する方法
今現在、個人投資家がオルタナティブ資産に投資できるプラットフォームが続々と登場しています。
三井物産のALTERNA(オルタナ)
オルタナは2,000億円以上の実物資産を運用する三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社が運営するデジタル証券と呼ばれる新興証券会社です。
オルタナでは下記のような実物資産(オルタナティブ資産)に投資ができます。
- 不動産(レジデンス、ホテルなど)
- インフラ関連(例:船舶、航空機)
- 再生可能エネルギー
- デジタルインフラ(例:データセンター)
- 超大手商社三井物産の子会社が運営するので、安心感がある
- 不動産やインフラ関連に投資して、景気に左右されにくい安定的なリターンを期待できる
- 10万円から投資ができ、想定利回りは配当金(インカムゲイン)のみで年利3.0〜5.5%程度
- 売却益(キャピタルゲイン)も狙える可能性がある
- 確定申告が必要ないので会社員でも始めやすい
- 年に2回まで売却が可能
- 2025年1月現在、元本割れなし
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GPIFのポートフォリオまとめ
GPIFは、私たちの将来の年金を安定的に給付するために、約200兆円という巨額の資金を運用する、世界最大級の投資機関です。
その運用戦略は、株式、債券、オルタナティブ投資といった多様な資産への分散投資を基本とし、長期的な視点で、安定的かつ効率的に資産を増やすことを目指しています。
特に近年では、オルタナティブ投資やESG投資といった、新しい分野への投資にも積極的に取り組んでいます。これには株や債券などの伝統的な資産との分散効果や社会全体の持続的な成長に貢献することで長期的なリターンを期待しているからです。
GPIFのポートフォリオには、これからの投資トレンドなどを探る上での大きなヒントがあります。
この記事が参考になったのなら幸いです。
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