CAMPFIRE Ownersは購入型クラウドファンディングで有名な株式会社CAMPFIREの子会社である株式会社CAMPFIRE SOCIAL CAPITALが運営するソーシャルレンディング。
専門家によって提供されるバラエティ及び情報量豊富なファンドに加えて、事業そのものに共感して投資をすることができるのもCAMPFIRE Ownersの特徴です。
今回は、そんな株式会社CAMPFIRE SOCIAL CAPITALの取締役 兼 金融事業部長、荒木隆義氏をお招きし、事業を始めた理由や投資家保護に対する考え、未来図まで余すことなく語っていただきました。
これからCAMPFIRE Ownersで投資を行おうと思っている方や、ソーシャルレンディングに興味のある方にとっては大変読み応えのある記事となっています。
ぜひ、お読みください。
インタビューを引き受けて下さった荒木隆義氏の略歴
荒木隆義氏
2013年野村證券株式会社に入社。投資銀行部門にて、企業買収および資金調達の助言業務に従事する。2017年5月、当社取締役に就任。同社の融資型クラウドファンディング事業の立上げに携わる。
1. CAMPFIRE Ownersを開始した理由とは?
ソ―シャルレンディング”CAMPFIRE Owners”を開始した理由を教えてください。どのような背景がありソーシャルレンディング事業に参入しようと考えたのでしょうか?
「まずは私たちCAMPFIREグループのミッションですよね。一人でも多く、一円でも多く、想いとお金をめぐる世界をつくっていくと。どんな人でも声が上げられるような社会をつくるというのがミッションです。」
「ですので、まずはこれをベースにサービスを展開しています。ミッションの実現には様々なやり方があっても良いと考えており、このソーシャルレンディングの事業にも取り組んでいます。」
「また、購入型クラウドファンディングで資金調達をしたい事業者様の中には融資という形が向いている事業者様もいらっしゃると思っていました。」
「それと同時に数百万を投資するならしっかりとした金融の仕組みの中で支援されたいという投資家様もいらっしゃると思っています。この場合、支援を受けたお金で事業が伸びるのなら、融資という形で、リターンを金利という金銭的なものにしても良いと考えました。」
「まずはプロジェクトオーナーさんが何をやりたいかが重要ですが、それをどのような方法で支援者の方にメッセージを伝えていくか?という点をCAMPFIREグループとして重要視しています。」
「ですので、融資型という選択肢もあった方がニーズにお答えできると考えており、参入した経緯があります。」
「ただ御留意していただきたいのが、金融サービスをしている時点で投資家保護がベースですし、きちっとやっていますということです。」
「投資家の方には大切なお金を出していただいていますので、我々としては金融商品として自信があるもののみ出しています。」
2.審査基準や利回りの決め方について
2−1. 審査基準について
ソーシャルレンディングはデフォルト(貸し倒れ)に非常にシビアな業界です。どのような基準をもとに審査を行っているのでしょうか?お聞かせください。
「審査基準は一般的な金融機関がやっていることと同様の水準以上でやっていると認識しています。」
「我々のチームは金融機関出身が多いですが、出身母体がそれぞれ違うので、それぞれの利点を活かし取り組んでいます。」
「ざっくりまとめますと、足元の実績のところと将来のキャッシュフロー計画をしっかり確認した上でファンドを提供しています。財務諸表からこれまでの実績を見に行きますし、この先も同じような経営状況を維持できるかなど、基本的なことは全て確認しています。」
「また、クラウドファンディング利用される事業者様は新しい事業に取り組まれるケースが多いので、その新しい事業の資金繰りにはいろいろな方法があると思います。その中にCAMPFIRE Ownersでの資金が混ざった時、返済に見合うだけのキャッシュが残っているかも重要な点でしょう。」
「加えて、最終的には審査委員会を設けてファンドの取扱い可否を決めています。外部の専門家を投入し、尚且つ代表の加藤も関わらない形で独立した状態での判断を行っています。」
「そういった厳しい面を持った上でファンドを提供しています。」
「実は、我々のチームは金融機関が多いです。」
「ホームページ上では、私と加藤、島野など経歴を出しておりまして、それぞれが銀行や証券会社の出身。加藤は日銀ですが、あとはコンプライアンス部にもしっかりとしてメンバーを揃えています。」
「また、我々出しているファンド数は現在20本程度と非常に少ないんですね。(2021年4月時点)投資家保護の観点でこのファンドは出せない!と自分たちで規律を持ってやってきた結果だと思っていまして、厳しい審査体制とコンプライアンスをとっていると認識していだければ幸いです。」
2−2. 利回りについて
利回りのところはどう決めているのでしょうか?
「前提として金利と利回りの両方があると思います。投資家の方に出す利回りと事業者様にお貸しする金利。このスプレッドが我々の手数料です。必ずしも利回りと貸付金利の考え方は一緒ではないです。」
「利回りは過去我々が取り扱ってきた実績の中でこういうプロジェクトであれば何%ぐらいが良いだろうと仮説として立て決めます。」
「一方で事業のリスクがそれなりにあると思うので、ここも我々のトラックレコードの中で過去の事業者様と比べながら貸付金利を議論し、最終的には両方のバランスを総合的に鑑みて決めています。」
「加えて、現実ソーシャルレンディングでデフォルト(貸し倒れ)を起こすということが非常に厳しい状況だという認識があります。できるだけデフォルトを起こさないような仕組み作りや商品設計も大事ですし、丁寧かつ詳細なモニタリングを毎月行っています。そうすることによって、デフォルトの可能性を最小限に食い止めることができるように取り組んでいます。」
「ミドルリスク・ミドルリターンの商品でも、商品設計の工夫によって投資家の安全性を図っていくことはできるとは思っており、工夫しながらやっています。」
3. CAMPFIRE Owners独自のメリットとは?
投資家がCAMPFIRE Ownersを利用する点おいて、御社独自のメリットがあれば教えていただきたいです。
「バラエティ豊富な金融商品に投資できるのが魅力だと思います。」
「なぜなら、購入型クラウドファンディング発進のファンドもあるからですね。個別の事業者様をしっかり支援できるようなサービスになっています。」
「バラエティ豊かな商品を整えているというのはいろんな声に応えていきたいというCAMPFIREグループのミッションもありますが、一方で投資家のポートフォリオの分散を図るという意味でもバラエティ豊かな商品を作っていく必要があると考えています。」
「もちろん、何度も申し上げますが、ファンドの組成のところについては金融のプロがしっかり審査を行っており、投資家に提供できると判断したものしか出しておりません。」
4. 投資家保護に対する考えと実施策について
ソーシャルレンディングにおける投資家保護に対して御社なりの考えと実施策があるのでしたら教えていただきたいと思います。
「まず透明性を大事にするというのが鉄則だと思います。」
「ただ透明性と言っても事業者が介在してしまうので、その事業者独自の見せ方になると思っています。」
「ですので透明性というよりは、情報量のところにこだわっています。」
「基本的には貸付の条件や借り手の財務状況など一般レベルのところから、どのような方がどのような想いでその事業をされているかというところも見ていただきたいなと思っています。この部分は絶対に外せないと思っており、インタビューページの充実に重きを置いています。」
「なるべく社長さんに顔を出してもらい投資家の方に支援の訴えをしていただく。」
「投資の大原則はやはりどれだけ納得感を持って投資をしていただくかだと思っており、<顔の見える投資に拘っています。」
「実は、顔の見える投資は結果として投資家保護につながっていると思っていまして、借り手からすると世の中に顔を露出して投資家からお金を借り入れているので、しっかり返済しようというインセンティブが働くのです。」
なるほど。それは新しい発見でしたね。共感投資がむしろ投資家の資産を守る仕組みとしても機能する可能性があるということですね。
「おっしゃる通りです。」
5. 融資と共感投資のバランスについて
ここまで聞きますと、共感投資が御社の強みと考えられますが、融資では元本を投資家にお返しする必要がありますので共感も重要です。そこで、共感投資と融資案件のバランスにおいて御社なりの考えがありましたら教えてください。
「前提は金融商品だということだと思います。自信を持って金融商品を出しています。まずはそこをご理解いただきたいと思います。」
「その上で同じ金融商品だったときにどれを選びますかという視点だと思っていまして、そこは顔の見えるストーリー性があるものを選んでくださいという意味での共感投資だと思っています。」
「ですので、共感投資だから寄附的にやってくださいということを謳っているわけではないです。まずあくまでも金融商品としてしっかりしていることと、ここからまず全ての話が始まっています。そこで選ばれる手段やデフォルトを減らす仕組みとして共感やストーリーを大切にしながらホームページ上で打ち出しています。」
要するに順番なんですね。
「融資の上に共感投資が成り立っているので、そこをもっと押し出していきたいというだけで、ベースは通常の融資でこれはもう今までご説明した通り、しっかりとした体制のもと投資家の方に提供されている金融商品です。」
「その点で我々として融資性の案件であるのか共感投資性の案件であるのかということは区別していないですし、共感に基づいた投資であれば事業者は投資家の期待に応えようと事業に取り組むことになり、この循環が当社商品の強みとなるだろうという仮説を持っております。」
共感投資がプラスに働くと投資家が納得すれば、それは投資するためのインセンティブになりますね。
6. CAMPFIRE Ownersの未来図とは?
御社の未来図を教えてください。どの様な世界をCAMPFIRE Ownersで実現していきたいでしょうか?
「一人でも多くの事業者様に一円でも多くのお金を行き渡らせるための仕組みを作っていくということですが、逆に言うと、従来の金融機関ができなかったことを我々がやらなきゃいけないと思っています。」
「やはり大きくは預金の存在があると思っています。預金の受け皿となるようなサービスで且つ毛細血管のように様々な資金需要者を支えられるような世界観を実現していきたいというのが大きな未来図です。」
「あとは投資家満足度ナンバーワン目指したいと思っていまして、そこに到達するべくビジネスというのを展開していきたいと思っています。」
やっぱり銀行預金に代わるような存在になっていきたいと思っているんでしょうか?
「預金というと語弊があるかもしれませんが、例えばCAMPFIRE Ownersに資金を入れておくとあなたが本当に応援したい先に投資ができてリターンが得られますという形は実現できるかもしれません。」
「もちろん、金融商品なので銀行の預金同様の保護はされていないですし自由にいつでも資金を引き出せるわけではありません。できることは限られていますが、そこのギャップを可能な限りなくしていきたいと思っています。」
「銀行のお金を仲介する機能を取り出しコストを下げることができれば、その分をリターンで投資家に還元できるとも思っています。」
素晴らしいですね。ぜひ実現していただきたいです。
7. これから投資される投資家に向けてひとこと
最後にこれから投資される投資家の方に一言お願いいたします。
「ソーシャルレンディング業界における投資家満足度ナンバーワンを目指していきます。やはり真摯に投資家に向き合うことが最重要だと思っています。全てを包み隠さず投資家に伝え、その上でしっかりと投資判断をしていただきたいと思っています。」
「また事業者やプロジェクトのストーリーを大切にする会社でありたいと思っています。商品の利回りや安全性は当然のこととして、事業に対してもしっかり興味を持っていただくといったところを自分たちのサービスの売りにしています。ですので、投資家としてお金を運用するだけではなくて、応援した事業がどうなっていくのかということまで体験できるようなサービスになっていると思います。」
「よりそういった可能性を広げていきたいと思っているので、ぜひ当社のサイトをご覧いただき、本当に良いと思うファンドがあれば投資していただきたいです。」
あとがき
ソーシャルレンディング「CAMPFIRE Owners」を運営されている、株式会社CAMPFIRE SOCIAL CAPITALの荒木氏に取材させていただきました。
新しい発見としては、CAMPFIREグループがずっと大事にしている共感投資の概念がデフォルトリスクを低減させる強力なローンツールとしても機能する可能性があるという点です。
これはなかなか気付きにくい部分だと思いました。この発見ができただけでも取材の意味は大いにあったと思っています。
もちろん、荒木氏の人柄や専門性、そして組織としての専門性の高さも窺い知ることができ、個人的には信頼できる健全な事業者だと改めて知ることができました。
良いファンドがあればぜひ投資したいという想いです。
個人的にCAMPFIRE Owners及びCAMPFIREグループが実現したい世界がとても楽しみですので、引き続き応援していきたいと思いました。
この記事をお読みになり興味を持たれた方はぜひCAMPFIRE Ownersでの投資を検討してみてはいがかでしょうか?
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