この記事では、ひふみ投信を運用されております、レオス・キャピタルワークス株式会社から山崎孝氏をお招きして、ひふみの誕生話やどのような想いで事業をされているのかなど、余すことなく語っていただきました。
ぜひ、参考にしていただき、ひふみ投信の背景に込められた想いを感じとっていただけたらと思います。
<取材に答えてくださった山崎孝氏>
埼玉県出身。慶應義塾大学商学部卒業後、2010年松井証券に入社しコンプライアンスのキャリアをスタート。4年後に預金保険機構に転職し、2017年にレオス・キャピタルワークスに入社し内部監査室に配属。2018年からダイレクト営業部に異動となり、部長を務める。趣味は銭湯通い。(引用:レオス・キャピタルワークス株式会社-山崎孝インタビュー)
1. ひふみ投信誕生の理由とは?
「今では日本屈指の知名度を誇るファンドであるひふみ投信が誕生したきっかけを教えてください。」
「当時はどちらかと言いますと投資信託は銀行や証券会社といった販売会社ありきという印象が強かったように思います。アセットマネジメント会社(投資信託の運用会社)はそういった販売会社の子会社であることが多く、親会社が売りやすいものを作るという風潮が強く、顧客本位でという考えは当時はあまりなかったように思います。」
「また、そういった風潮の中、長期の運用に適したファンドが全く育っていないというのもありました。アメリカだとマゼランファンドのように多くの方に知られているファンドがあるんですけど、日本でも長く親しまれるようなファンドがないなと。ならそれをレオスで創ろうと。」
「そこで、2008年10月にひふみ投信を設定して、長期の資産形成に資するお客様のためになる投資信託として、ひふみ投信という投資信託をローンチしました。」
2. アクティブファンドであることの魅力とは?
「ひふみ投信やひふみワールドは、人が運用を行うアクティブファンドですが、インデックスとの違いはどこにあると考えていますか?」
「アクティブファンドなので、投資先の最終判断はファンドマネージャーが行っているということです。」
「アクティブファンドは、インデックスファンドと比較した場合に、一般的に信託報酬が高い傾向にあります。例えばレオスの運用部は、頻繁に国内外へ出張をして投資先になりうる会社訪問をしておりますので、その分の調査に係るコストがかかってくるという背景はあります。」
「また、もちろんコストの視点も資産形成をしていく上で大事な視点になりますが、ひふみの場合それ以上のリターンをしっかり出せているという部分を皆さまに理解していただきたいと思います。企業訪問をしっかり行い、投資先企業をしっかり見定めているという点で、やはり人の力だと思うんですね。」
「アクティブファンドの信託報酬はどうしても高く映りますよね。ただ、海外企業にもちゃんと出張して投資する投資信託は多くはないと思いますのでそこはひふみの魅力かなと私も思います。」
「ただ、世間的なところで信託報酬が比較的安価なインデックスファンドでもいいんじゃないかという意見もありますよね。この点についてどうお考えですか?」
「インデックスとアクティブについては、どちらが良くてどちらが悪いというものではなく、価値観だと思っています。これは当社の代表であり、ひふみのファンドマネージャーでもある藤野が言っていたことですが、”失望をできるだけ最小化にしたいのがインデックスファンド“。一方で”希望を最大化したいのがアクティブファンド“だと。」
「インデックスファンドというのは、あくまでTOPIXや日経平均株価などの指数に連動させることが目的なので、基準価額が下落しても”それがマーケットの値動きである以上仕方がない”といったような、お客様から見ても許容される範囲というような感じはあります。」
「一方で、アクティブファンドというのは、希望を最大化するものだと思っています。」
「こういう素晴らしい企業にしっかり投資しているから、日本や世界の未来は明るい!というような希望をお伝えすることできるのもアクティブファンドの魅力だと思います。」
「お客様にはしっかり希望を。日本は明るいかもしれないし、世界はもっとすごいかもしれないということを伝えながら、一緒に資産形成ができればと思っています。これは、アクティブファンドだからこそできることだと思います。」
「素晴らしいですね。希望を最大化するのが、アクティブファンド。とても腑に落ちました。」
3. 日本における資産運用の課題とひふみが果たす役割
「現状、日本における資産運用や経済の課題はどのような点だと考えていますか?また、それを解決するために、ひふみ投信はどのような役割を果たすと考えていますか?」
「課題としては、投資文化が全く根付かないという点だと思います。」
「日本は、ここ20年間で家計金融資産が1.5倍程度に増えました(※)が、アメリカは3.5倍程になっています。(※)これについては、みんなが頑張って働いたから増えたのか、市場に投資したから増えたのかなどいろいろ考えてがあると思いますが、一番の問題点は自分が投資をすることで日本や世界が良くなるという投資の根本的な考えが日本人に根付いてない点だと思います。」
(※参照元)家計金融資産の現状分析-金融庁
「その意識がもう少し変わると日本人が投資に回すお金も増えると思いますし、投資がより親しみのあるものになると思うんです。投資を詐欺とかギャンブルなどの投機と思っている方も多いのが現状です。投資というのはどうしても長期的な目線で成長を見守る考え方が必要になってきますので、短期でリターンを得ようとする意識がまだまだ根強い点にも課題感はあると思います。」
「それに対して私がやっていくことは、投資ってどういうものなのか?としっかり投資の文化を啓蒙することを使命だと思って続けていきたいです。ですので、できるだけ投資に親しみを感じていただけるようなコンテンツを発信して、これから投資をやってみようと思えるように背中を後押ししたいですね。」
「確かに、投資の本質的な考え方は日本にはまだ根付いてないですよね。投資が企業を応援するものだとかそういった意識にはなってないと思います。」
「ひふみ投信ならちゃんとお金を社会貢献に生かしてくれる。だからお金を預けたい!とかそういう風になればいいなぁと思います。そうすると日本ってもっとよくなるだろうなと思いますね。」
「初めは将来に対する危機感からとかでもいいんですけど、投資を実際に初めていただいて投資ってこうものだったんだなということが理解いただければいいなと思います。レオスは人が運用しているので想いはありますよと。それが言いたいところです。」
4. 日本人が投資をすべき理由とは?
「そもそも、日本人が投資をすべき理由としてどのように考えていますか?」
「それは難しい質問ですが、まず投資によって資産形成をというのはあるかもしれませんね。しかしそれ以上に、投資することが何か新しいことに気づくきっかにもなるのかなと思います。」
「投資をリターンを得るためにやる。体験。成長。なんでもいいと思うんですね。投資って金銭的な面だけじゃなく、もっと広義な意味で捉えると、例えば勉強だったり趣味だったり、時間を何かに使っているわけじゃないですか?そのエネルギーが自分にとって何かしらの資産になるという点が投資の考え方だと思います。」
「ですので、投資が新しいことを学ぶとか、自分の価値を高めるとか、投資が自分を成長させるきっかけになるのかなと思いますね。」
「確かにその通りに思います。ですが、一般的に投資の必要性と言いますと、今は金利低いので、インフレリスクに備えて投資しましょうとかよく言われますが、これについてはどう思いますか?」
「外部要因なら投資する理由って結構あるんですよね。銀行預金の金利以上のリターンを投資でという考えももちろんあります。そうしたことで投資を始めていく中で、世の中をより良く変えようとしている企業に投資によって応援しているという思いを持っていただけると嬉しいですね。」
「そうですよね。よく使うシャンプーとかにありがとうという気持ちで、このお金で頑張って!という気持ちで投資するとか。こんな形もあっていいと思います。」
「正しいサービスに正しいお金の使い方をするのはいいことですよね。」
「2022年から、高校の家庭科の授業で資産形成についても触れられるようになるようです。これは個人的な夢なのですが、その教科書に私たちレオスの考え方が掲載されたらいいなと思っています。投資は応援するものだとかですね。そういう要素が教科書に載るともっと投資に対する考え方も変わってくると思うんですよね。」
5. ひふみが提供する投資の面白さを伝えるコンテンツについて
「ひふみ投信さんは、ひふみラボnoteなどでも積極的に情報発信を行なっていますよね。どのような意図があるのでしょうか?」
「やっぱり、若い方に読んでもらいたいなという思いがあるからですかね。」
「実際レオスとしては、若者には積極的に接したいと思ってまして、SNSとかも昔からやってるんですけど、できるだけ若者に触れられるメディアってなんだろうと思ってnoteなどもやっていますね。」
「何かおすすめのコンテンツとかありますか?」
「noteの中で若い人ってどうやって資産形成するの?というコンテンツが個人的には好きでおすすめしたいですね。」
「いいですね!やっぱり投資はやってみることが大事ですもんね。」
「そうですね。1000円でもいいのでやってみることがまず大事だと思います。」
6. レオス・キャピタルワークス(株)とひふみのゴール
「では、最後にレオス・キャピタルワークス(株)とひふみ投信のゴールを教えてください。」
「投資文化をしっかり根付かせる。その中でひふみ投信を国民ファンドに。」
「うちの社長の藤野がよく言っていたのですが、ポッキーってあるじゃないですか。それを目指したいなと思っています。」
「つまり、誰もが知ってて、これってこの味だよねみたいにわかる投資信託を作って皆さんに親しんでいただきたいなと思っています。」
「本日は、お忙しいところをインタビューにお付き合いありがとうございました。」
あとがき
ひふみ投信を運用されるレオス・キャピタルワークス(株)様に取材をさせていただきました。
アクティブファンドの運用事業者としてのミッションがしっかりと落とし込めており、終始感嘆させれました。
投資と言うとどうしても外的要因が重要視されている風潮があると思います。例えば、老後に備えるために資産運用しましょうなどです。もちろん、今後の日本の公的年金制度などを考えると投資が必要なことは間違いないのですが、どうしてもお金を増やすことにフォーカスされすぎている気もします。
投資の本質は、将来リターンを得られるものにお金と時間を費やすこと。この考えは、金銭的なリターンだけでなく、自分の人生を考える上でも重要だと思います。
大事な考え方に改めて気づかせてくれた、レオス・キャピタルワークス(株)とひふみ投信にお礼を言いたいです。間違いなく、最高の運用会社と投資信託です。
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