【取材】なかのアセットマネジメント株式会社中野晴啓社長|投資の本質からみるアクティブファンドの存在意義

中野晴啓さんへの取材のアイキャッチ

長く日本人の資産運用文化の啓蒙に努めてきた金融業界の著名人中野晴啓さんが新しく創業したなかのアセットマネジメント株式会社

本格的なアクティブ運用を行うファンド(投資信託)を2本設定

今回、中野晴啓さんご本人に取材することができました。アクティブファンドを運用する理由や、提供したい価値など、その想いに迫ります。

当記事を中野晴啓さんとの出会いと捉え、学びを深めることにご活用ください。

当記事の運用者
中野晴啓さんの写真

中野晴啓さん

なかのアセットマネジメント株式会社 
代表取締役社長 最高投資責任者(CIO)

1987年、明治大学商学部卒業。セゾングループの金融子会社にて債券ポートフォリオを中心に資金運用業務に従事した後、2006年セゾン投信株式会社を設立。2007年4月代表取締役社長就任2023年6月に代表を退任。同年9月なかのアセットマネジメントを設立、2024年4月にアクティブ運用の長期投資ファンド「なかの日本成長ファンド」「なかの世界成長ファンド」の2本を設定、運用をスタート。公益社団法人経済同友会幹事他、投資信託協会副会長、金融審議会市場ワーキング・グループ委員等を歴任。

※当取材は2024年6月12日(水)に行われました。その為、最新情報と違いがある可能性があります。最新情報が知りたい場合は、なかのアセットマネジメント株式会社公式サイトを別途ご覧ください。

目次

当記事は投資に関連する一般的な情報提供を目的としており、取引の勧誘を目的としたものではありません。情報の品質管理に努めておりますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。金融商品の最新情報は公式サイトにて必ずご確認ください。投資される際はご自身の判断と責任で行っていただきますようお願いいたします。

1. なかのアセットマネジメント2つの大きなコンセプト!

マネとも中の人

本日はよろしくお願いいたします。まずは御社について教えてください。

中野晴啓さんの写真
中野晴啓さん

こちらこそよろしくお願いいたします。

まず、今回のアセットマネジメントについて、お客様の大切な財産と、社会の成長を長期投資で叶えていくという目的同時に2つの大きなコンセプトがあります。

1つは新しい価値創造を目指すこと、もう1つは本格的なアクティブ運用を行うことです。そして、私が考える理想とするアセットマネジメント会社の姿がこれです。

なかのアセットマネジメント株式会社のメイン画像

(なかのアセットマネジメントメインビジュアル)

マネとも中の人

今回、なかの日本成長ファンドとなかの世界成長ファンドで日本と世界の2本立てにした理由を教えてください。

中野晴啓さん

まず一般的な長期資産形成としては世界経済の成長を取り込むのが合理的です。

つまり、世界の優良企業を選別して株式投資を行い、グローバルな経済成長をしっかり取り込むことが重要だと考えます。

もう1つは、日本の産業界を強くすることにあります。その強くする基盤を私たち生活者の投資のお金で支えたいと考えています。

日本が弱くなると日本に住み続けている私たちに影響します。日本には可能性のある企業は少なからず存在し、質の高い国民生活者がいます。

私たちのファンドを通して、日本の産業界がもっと頑張り、経済が大きくなります。

そして、私たちの給料も安定して増えていきます。給料が増えれば、消費に回るお金がもっと増え、より日本の産業が大きくなります。

日本の産業が強くなれば、その分投資家にもしっかり運用リターンが返ってきます

こういった好循環を作りたいと考えています。

2. 投資の本質から見るインデックスファンドにはないアクティブファンドの良さとは?

マネとも中の人

今回設定されたファンドはどちらもアクティブファンドですが、インデックスファンドにはないアクティブファンドの良さについて教えてください。

中野晴啓さんの写真
中野晴啓さん

多くの人がアクティブファンドに考えるイメージは、運用のプロがマーケットを予測し、その波に上手く乗ってリターンを作るというものではないでしょうか?

しかし、私はこれを本質的な投資の形とは考えていません

マネとも中の人

本質的な投資の形とは何でしょうか?

中野晴啓さん

投資の本質は、投資対象の将来のキャッシュフローを見込んで行うものです。

毎年、企業の利益から一定のリターンを恩恵として受けられます。わかりやすいのは配当金を得ることです。また、利益は株価に反映され、株価が上がります。

つまり、リターンの源泉は企業の価値が上がっていくことにあります良い仕事をした結果としての社会評価が反映されたものでなければなりません。

そのため、短期的に売ったり買ったりして利益を得ることは企業の価値とは無関係です。

マネとも中の人

ありがとうございます。最初におっしゃっていた中野さんの考える本格的なアクティブ運用の形を教えてください。

中野晴啓さんの写真
中野晴啓さん

私たちの考える本物のアクティブ運用は長期投資を前提としたものです。これを「骨太のアクティブ」と表現しています。

私たちが考える骨太のアクティブ運用では、短期的なマーケットタイミングを読むことはせず、長期的に成長する”いい会社”を選びます

マネとも中の人

“いい会社”とはどのような会社でしょうか?

中野晴啓さん

“いい会社”とは世の中に価値を提供する会社です。付加価値を生む力、富を生む力がある会社です。

具体的には、社会課題を解決することで「ありがとう」という声が生まれ、その企業は売り上げが伸び、利益が生まれます。この富の好循環が大きい会社が”いい会社”です。

私たちはこのような十年スパンで成長していく”いい会社”をクオリティ・グロース・企業」と名付けています。

クオリティ・グロース・企業は、短期的にはマーケットに準拠した値動きがあっても、長期的には企業の本質的価値に対して価格が回帰する特徴があります。

この回帰するまでの時間は誰にもわかりませんが、私たちはこの回帰がリターンという形で実現するまで忍耐強く投資をしていきます。

マネとも中の人

なるほど、そういう点でも長期的な投資が大事ということですね!

中野晴啓さん

おっしゃる通りです。

3. なぜ、今アクティブファンドなのか?

マネとも中の人

現在は、インデックスファンドが主流ですが、なぜ今アクティブファンドなのですか?

中野晴啓さんの写真
中野晴啓さん

私は、アクティブファンドこそ投資のメインストリームであるべきと考えています。

インデックスファンドの歴史は40年前に始まり、冷戦が終わった後、グローバリゼーションが始まってからの20数年で広まりました。金余り(過剰流動性)が起きたことで、余らせた資金をすぐ投資する必要があったため、とりあえず株式市場に対してインデックス(指標)で放り込むのが一番手っ取り早かったのです。

しかし、今は金余りの解消が始まっており、インフレ経済へと移行しています。

例えば、アメリカでは政策金利は5%程度まで上がっています。金利水準は企業に影響を与えます。これからの時代は金利負担ができない会社は脱落します。インフレ経済では、力のある企業が浮き上がり、力のない企業が沈むとう傾向があります。

マネとも中の人

振り落とされる企業が出るということですね。だからこそアクティブファンドとして銘柄選定をする理由が出てくるんですね。

中野晴啓さん

そうです。これからいい企業がどんどん浮かび上がってきます。いい企業をしっかり保有していれば、輝かしい運用成果を得られるはずだと考えています。

また、インデックス運用からアクティブ運用への揺り戻しが起きるのは相場の調整局面です。その下落局面でいい企業を選別できていたアクティブファンドは踏みとどまることができます。いい会社の株は下がりにくいのが特徴だからです。

また、私たちのような本格的なアクティブ運用は金融当局も求めています。

マネとも中の人

金融当局が求める理由はどこにあるでしょうか?

中野晴啓さんの写真
中野晴啓さん

まず昨今のインデックスファンド一辺倒は過剰と考えています。これは運用業界全体の収益性悪化に繋がるからです。

インデックスファンドだけだと金融業界的に儲かりにくい構造があります。そうすると、リテラシーの低い方を対象に手数料が高いファンドを売る構図が過剰になるかもしれません。

さらにもう1つ問題があります。インデックスファンドでは、企業のガバナンスに対して、株主としてきちんと判断し、その権利を行使する責任が充分に果たせません

インデックスファンドが過剰になると資本市場の規律が働かず、企業経営者が緩むのです。

資本市場の規律という面でも、ファンド運営者や運用者は責任を持って銘柄を判断し、企業の規律を外部から維持することも重要です。

そのため、当社のファンドは企業とのエンゲージメントを一番重視しています。

マネとも中の人

企業とのエンゲージメントとは何でしょうか?

中野晴啓さん

企業との対話です。調査結果を基に企業と対話し、我々の気付きを伝えます。どうすればもっといい会社になるかを協力します。そして長期的に企業価値が上がるように尽力します。

投資先の企業に対して、いろいろな提案をしていく予定です。

ただ、強引なやり方を取るわけではなく、あくまで私たちは価値のある会社をもっといい会社にしたいという応援者の立ち位置です。

そのスタンスで信頼関係を築けば、深い関係を作っていけると信じています。

当社のファンドでは、私たちが一生懸命リサーチして学び、伝えます。それを企業が実践しれくれれば、結果として企業価値向上につながり株価に反映されます。そして、それを支えた長期投資家がみんな一様に恩恵を受けられるという好循環を創りたいと考えています。

4. これからなかのアセットマネジメントの商品に投資される方に向けて

マネとも中の人

最後になかのアセットマネジメントさんで今回提供しているファンドにはどのようなスタンスで投資していただきたいと考えていますか?

中野晴啓さんの写真
中野晴啓さん

私たちの目的は、普通の生活者が将来の豊かな人生を実現するための行動をお手伝いすることです。

投資家になってほしいのは普通の人たちです。多くの方に私たちのメッセージから気づきを得ていただき、一緒にこの活動に参加してもらいたいと考えています。

そして、世の中のために一生涯投資を続けてもらいたいです。

この考えに共感できる人たちを増やしていきたいと考えています。

今回、投資について話してきましたが、リターンが上がれば良いだけではなく、そのプロセスで社会の豊かさが増え、経済が大きくなり、社会に貢献することが大切です。

それをみんなで共感して行動することが究極の民主主義だと考えています。

マネとも中の人

本日はありがとうございました。

中野晴啓さん

こちらこそありがとうございました。

後書き

筆者自身、中野さんの書籍などから、投資の本質や長期投資の重要性などを学んできており大変感謝しています。

中野さんは昔から日本のために投資文化の啓蒙と新しい価値の提供に努めてきました。そして今回もまた社会的に意義のあるファンドを世の中に提供され、そのブレない姿に感銘を受けました。

投資は社会活動に貢献しているという応援的な意味合いもある。中野さんの言葉を聞くと、投資をより納得感を持って行える気がしますね。

これからも中野さんのご活躍とファンドを末長く見守っていきたいと思います。

免責事項

本サイトにおける記事及び情報の掲載は、投資に関連する一般的な情報提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品の取引の勧誘を目的としたものではありません。情報の掲載にあたっては品質管理に努めておりますが、その正確性や完全性を保証するものではありません。金融商品及びサービスの最新の情報は公式サイトにて必ずご確認ください。金融商品取引を行う際は、お取引先の金融商品取引業者等より交付される契約締結前交付書面等の書面の内容をしっかりお読みいただき、商品の特徴やリスク、取引の仕組み、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の判断と責任にて行っていただきますようお願いいたします。

中野晴啓さんへの取材のアイキャッチ

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