長く日本人の資産運用文化の啓蒙に努めてきた金融業界の著名人中野晴啓さんが新しく創業したなかのアセットマネジメント株式会社。
本格的なアクティブ運用を行うファンド(投資信託)を2本設定。
1本は、なかの日本成長ファンド。そしてもう1本がなかの世界成長ファンドです。
今回、なかの世界成長ファンドの運用責任者である居林通さんに取材することができました。入社経緯や運用方針、想いに迫ります。
当記事を居林通さんとの出会いと捉え、学びを深めることにご活用ください。
居林通さん
なかのアセットマネジメント株式会社
シニアポートフォリオマネージャー
1992年日興投資信託入社(現 日興アセットマネジメント)し、海外ファンド等のファンド運用を担当する。2003年にベアリング投信投資顧問にてファンドマネージャー。その後、2006年-2023年までUBSウェルスマネジメントにてリサーチヘッド。2023年12月、なかのアセットマネジメントに入社。海外ファンドの責任者に就任。
1. 「個人投資家に世界の素晴らしい企業への投資を届けたい」居林さんが新天地で描く夢
居林さんがなかのアセットマネジメントに入社されたきっかけと、ファンドマネージャーになろうと思った理由を教えてください。
当社なかのアセットマネジメント(株)の中野さんが以前社長を努めたセゾン投信を辞めて新しい会社を立ち上げるという話を聞いたのがきっかけです。
以前からアクティブファンドのファンドマネージャーとして「もう一度勝負がしたい」と思っていました。
もう一つは、世界には素晴らしい会社がいっぱいあります。そこへの投資の手段を、より多くの個人投資家に提供したいという思いがありました。
(引用:なかのアセットマネジメント株式会社公式サイト)
以前、他社のヘッジファンドで機関投資家として数百億単位の金額を運用されていた経歴もある居林さんが、個人投資家向けのファンドに携わるのは大きな転換ですね。
そうだと思います。
機関投資家の資金を運用する際には、どうしてもお客さんの顔が見えづらく、日本の多くの方々に投資の機会を提供できないもどかしさを感じていました。
以前から中野さんの活動は知っており、多くの個人投資家の方々を長期投資に導き、6,000億円の資産まで積み上げたリーダーシップに感銘を受けていました。
だから、「新しい会社作るなら僕を入れてください!」と自らアプローチしました。
2. なかの世界成長ファンドの未来の成長を見据えた「クオリティ・グロース」投資戦略
なかの世界成長ファンドは複数のファンドに分散投資を行うファンド・オブ・ファンズという形態ですが、組入ファンドの選定基準を教えてください。
長期投資に適していること、そして、なかのアセットのモットーである「クオリティ・グロース」に合致していることです。
クオリティ・グロースとは、高い競争力と高い成長性を兼ね備えた企業のことです。
よりすぐった会社をさらに厳選する作業には時間がかかります。
そこで、私たちと同じような価値観を持ったファンドマネージャーのチームと対話を重ね、ファンドを厳選しました。
(引用:なかのアセットマネジメント株式会社公式サイト)
「クオリティ・グロース」に合致しているファンドの具体例を教えてください。
例えば、当ファンドが投資しているアライアンス・バーンスタインのエマージング・成長株ファンド(適格機関投資家専用)は中国企業テンセントへの投資比率が高く、「勝負している」と感じます。
また、別のヨーロッパに特化したコムジェスト・ヨーロッパ・ファンド90(適格機関投資家限定)もボラティリティが低く、良い銘柄を選んでいると感じますね。
(引用:なかの世界成長ファンド-マンスリーレポート2024年10月)
求めているのは過去の成長ではなく将来の成長です。
ファンドマネージャーとして絶対にやってはいけないのは、過去の成長をそのまま将来に当てはめることです。業績は一歩先に回復しつつあるので良い投資だと思います。
例えば、テンセントは一時期株価が低迷していましたが、最近は中国政府が軟化しており、2024年9月24日、26日の会議では経済政策を大きく変えたことを背景に好パフォーマンスとなっています。
このように、変化を捉えて勝負しているファンドは当社の投資哲学とも相性が良いと感じます。
クオリティ・グロースに合致しているファンドは理解できましたが、具体的な世界の企業例を知りたいです。
例えば、ルイビトンやフェラーリは、世界の人口増加に裏打ちされつつも、ブランド力というクオリティによって成長が期待できる銘柄と言えますね。
ブランド力は、一度確立されると強固です。
お金持ちになると特に理由はないですがフェラーリが欲しいと考える方って結構いらっしゃいますよね。
そう思う方は多そうですね。
それがクオリティ(ブランド力)なんですね。
3. インデックスファンドにはない、アクティブファンドの3つの投資メリット
世界株への投資としては、オールカントリーのようなインデックスファンドがオーソドックスですが、なかの世界成長ファンドのようなアクティブファンドに投資するメリットはどういった点があるでしょうか?
1つはポートフォリオの中身です。こちらはなかの世界成長ファンドの国別構成比です。
長い間のアメリカ企業のバリエーションの上昇、ドル高を受けて、全世界株式インデックスファンド(オールカントリー等)ではアメリカが6割を占めています。
アメリカの企業は良い企業が多いですが、世界で見て6割がアメリカというのは偏りすぎていると思います。良い企業はアメリカだけにあるわけではない。
だから、なかの世界成長ファンドではアメリカを25%、加えて中国を7%、インドを6%と、新興国にも積極的に投資しています。
新興国に投資するメリットは?
歴史認識の観点からです。
ここ10年のうちにいくつかの先進国は新興国に抜かれるでしょう。
長期にわたる変化のダイナミズムを捉えることが重要です。
先を見据えての新興国ということですね。
そうですね。
また、下げ相場でのメリットも挙げられます。
インデックスファンドは飛行機の自動運転のようなもの。天候が良く、機械に異常がなければ自動操縦で問題ありません。しかし、台風や雷雨に遭遇したり、機械が故障した場合は、自動操縦を解除してパイロットが操縦します。
インデックスファンドには、そのような対応力がありません。好調な時は良いのですが、何かあった時には、誰も相場をコントロールできない。下がる時は、ただ下がるだけです。
下げ相場こそ、アクティブファンドが真価を発揮できる時と考えています。例えばボトムでしっかり良い銘柄と買うとこういったことができるわけです。
それはアクティブファンドに投資するメリットと言えそうですね。
言えると思います。
私たちは長期でずっと伸びる銘柄に投資したい。
その点では “これは絶対に買わない” という銘柄もあります。今絶好調で、その後悪くなりそうな銘柄は “見送り” ます。
アクティブファンドには、良い銘柄を選ぶだけでなく、危ない銘柄を避ける役割もあります。これは重要なことですが、世の中ではあまり認識されていません。
このような点をメリットとして感じていただけるのではと思います。
4. 居林さんから投資家へのメッセージ – 世界の素晴らしい企業のオーナーに
最後に、なかの世界成長ファンドにこれから投資される方に一言メッセージをお願いします。
世界には何十万社もの素晴らしい企業がたくさんあります。しかし、数が多すぎて、それらを見つけ出すのは容易ではありません。
そこで我々が将来的に素晴らしい成長が期待できる企業をしっかり探し当てて参ります。
そして投資家の方にはその素晴らしい会社のオーナーになっていただけるという喜びを味わっていただきたいと思っています。
ぜひ、長期的な目線で、このファンドにご期待ください。
本日はありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございました。
後書き
筆者自身、なかの世界成長ファンドにはネット証券のNISA口座の成長投資枠にて投資しており、今後が楽しみなファンドです。
長く機関投資家の世界で活用されてきた著名な居林さんが、遂に個人投資家向けの商品で勝負をかけるという姿に感銘を受けました。
クオリティ・グロースの理念に合致した優秀なファンドに投資するという一貫性のある合理的な運用であり、一受益者としても納得感がありました。
これからも居林さんのご活躍となかの世界成長ファンドを末長く見守っていきたいと思います。
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